Last updated on 2025-12-12, by kaka

MPDとは？DRMを解除してMPDをMP4に変換してダウンロードする方法

MPDという言葉にはいくつかの意味が存在します。例えば、医療分野での多重人格障害（Multiple Personality Disorder）を指す場合や、警察の略称として使われることもありますが、この記事では動画ストリーミングにおけるMPEG-DASHという規格を焦点に、基本的な説明からダウンロード方法までを詳しく解説します。

MPDとは

MPDはMedia Presentation Descriptionの略で、MPEG-DASHの核心となるXML形式のマニフェストファイルです。このファイルには、動画の構造や配信方法に関する情報（タイムライン、さまざまなビットレートのセグメントの場所、クライアントがHTTPリクエストを通じてコンテンツを取得して再生する方法など）が記述されています。MPD、Period、AdaptationSet、Representation、Segment の要素で構成されています。MPDファイルの構造についてはこちらの記事『[MPEG-DASH] MPDのファイル構造』をご覧ください。

MPEG-DASHは、Dynamic Adaptive Streaming over HTTPの略で、HTTPプロトコルを基盤とした動画配信の国際標準規格です。この規格は、動画コンテンツを効率的にインターネット上で配信するために開発されました。

簡単に言えば、MPEG-DASH はアダプティブ ストリーミング プロトコルであり、MPD はそのナビゲーションです。 MPD がないと、クライアントはメディア ストリームを正しく解析して構築できません。

MPEG-DASHの特徴

1. ライブ配信とオンデマンド配信に対応
2. 複数のコンテンツを再生、CM挿入も可能
3. 帯域幅によって解像度を自動切換え
4. 複数のDRMに対応
5. 言語毎の字幕に対応
6. コーデックに依存しない

MPDとM3U8の違いは？

MPDとM3U8の機能は似ていて、どちらもアダプティブ ストリーミング用の「プレイリスト/マニフェスト」ファイルとして使用され、クライアント（ビデオプレーヤーなど）が異なる品質のメディアセグメントをロードできるようにします。動画配信サービス（VOD）やライブ配信によく使用され、HTTPを通じてセグメントファイル（TSやMP4など）を転送することができます。しかし、これらは同じものではなく、異なるプロトコルによるものです。

MPDはMPEG-DASH（ISO/MPEGが定義したオープン標準）というプロトコルに属し、M3U8はHLS（Appleが開発したHTTP Live Streaming）というプロトコルに属します。
このプロトコルの違いにより、機能的な得意分野も異なります。具体的な違いは以下の表の通りです。

項目	MPD (MPEG-DASH)	M3U8 (HLS)
所属プロトコル	MPEG-DASH（ISO/MPEG定義のオープン標準）	HLS（Appleが開発したHTTP Live Streaming）
ファイル形式	XML構造（複雑だが拡張性が高い）	プレーンテキスト（M3Uを拡張、UTF-8、非常にシンプル）
拡張子	.mpd	.m3u8
セグメント形式	主にFragmented MP4（fMP4）またはISOBMFF	主にMPEG-2 TS（Transport Stream）
ブラウザ対応	現代ブラウザ（Chrome・Firefoxなど）がMSEで原生対応	iOS/Safariは完全ネイティブ、Android/ChromeはMSEが必要
メリット	標準化が進んでおりクロスプラットフォーム、高機能（多言語音声・字幕など豊富）	実装が簡単、Apple生態系との相性抜群、DRM/暗号化が簡単に組み込める
デメリット	解析がやや複雑、ファイルサイズが大きくなりがち	標準化が弱く、セグメントがTS固定のため効率がやや劣る

MPD・MPEG-DASHを使用している動画サイト

MPEG-DASHは、多くの商用動画配信サービスで採用されています。
有料動画配信サイトでは、アダプティブストリーミングとDRM（Digital Rights Management）を組み合わせた運用が一般的です。DRMはコンテンツの不正利用を防ぐ仕組みで、さまざまな方式が存在しますが、MPEG-DASHでは主に「特定のデバイスや環境でのみ再生可能にする」制限と「再生期間を限定する」機能が対象となります。これにより、NetflixやAmazon Prime Videoのようなサービスが、著作権を保護しつつグローバル配信を行っています。

以下は、一部のMPEG-DASHを使用している動画サイトです。

• AbemaTV
• Instagram
• YouTube
• Netflix

MPDを再生する方法

多くの場合、MPDファイルはURL（ウェブ上のリンク）として提供され、ローカルファイルとしてダウンロードされているケースもあります。MPEG-DASHのマニフェストなので、標準的な動画プレイヤーでは直接開けないことがあり、対応したツールを利用する必要があります。MPDを再生するには、主に三つの方法があります。

1. VLCメディアプレーヤーで再生する

VLCはMPEG-DASHをネイティブサポートしています。MPDがURLの場合、VLCのメニューバーの「メディア」→「ネットワークストリームを開く」を選択して、入力欄でMPDのURLを貼り付けて「再生」をクリックして再生できます。
MPDがローカルファイルの場合、VLCで「ファイルを開く」をクリックして、ファイルを選択すればいいです。ただし、ローカルファイルの場合、相対パス（セグメントの場所）が正しく解決されないことがあり、再生できない場合があります。

2. オンラインプレーヤーでテスト再生する

一部のオンラインDASHプレーヤーサイトは、MPD URLの再生テストを無料で提供しています。URLを入力するだけで、ブラウザで簡単にテストできます。以下は、無料でMPDを再生できるサイトです。

• LiveReacting DASH Player（https://www.livereacting.com/tools/dash-player）
• Castr DASH Player（https://castr.com/dash-player/）

3.ダウンロードしてMP4に変換して再生する

MPDはストリーミング用なので、動画をダウンロードしてMP4に変換してオフラインで再生できます。DRMのないMPD動画なら、FFMPEGというフリーソフトでダウンロードできますが、DRMが施された場合、「CleverGet MPD動画ダウンロード」のような専用ソフトを利用する必要があります。詳細のやり方は次のパートをご覧ください。

MPDをダウンロードしてMP4に変換する方法

MPDファイルがDRM保護（暗号化）されている場合、通常の方法では動画の保存ができません。対応した専用ダウンローダーが必要です。
CleverGet MPD動画ダウンロードは、DRM付きのMPD動画に特化したツールで、さまざまな配信サイトから動画をMP4やMKV形式で保存できます。このソフトウェアは、MPEG-DASHの構造を理解し、セグメントを結合しながらDRMを解除する機能を持っています。私の経験では、複数のサイトをテストした結果、安定したダウンロードが可能でした。

※NETFLIX、ABEMA TVなどのサイトは、別々の専用のモジュールがあります。すべてのモジュールはCleverGetに内蔵されているので、非常に便利です。

CleverGetで、MPDをダウンロードのやり方は簡単で、以下の手順に従うだけです。

1. CleverGetをインストールし、起動します。
   
2. 内蔵のWebブラウザで対象の動画配信サイトにアクセスし、動画を再生します。
   
3. 動画が検出されるとリストに表示されるので、希望のものを選択します。
   
4. 出力形式（MP4やMKV）と品質を設定し、ダウンロードを開始します。
5. 完了後、DRMが解除された動画ファイルが保存されます。右のサイドバーで確認できます。
   

注意点として、著作権法違反をしないように、ダウンロードしたコンテンツは個人利用に留め、配布は避けてください。

まとめ

MPDファイルは、主にMPEG-DASH（Dynamic Adaptive Streaming over HTTP）という動画ストリーミング技術で使用されるマニフェストファイルです。これはXML形式のファイルで、動画や音声のセグメント（分割された部分）の場所、ビットレート、解像度などの情報を記述したもので、単体では動画ファイルではなく、ストリーミング再生のための「目次」のような役割を果たします。
今回は、MPDの再生方法とダウンロード方法について解説しました。お役に立てれば幸いです。